店まであと数メートルというところで
通りの向こう側から走ってくる常連様が目に入った
華奢な体つきの女性で私とそれほど歳は変わらないが
フルマラソンも走破する強者で、
このときも、店の前のなだらかな登り坂を必死の形相で駆けていた
ちょっとからかってやろう
『がんばれ~ がんばれ~』と
手をたたきながら白々しく沿道応援をしてみた
なだらかな登り坂とはいえ、長い坂である
苦しそうな表情がサングラス姿からも
ありありとうかがえる
疲労のピークなのだろう
ほんの一瞬こちらを見たようだが
ほぼ無反応だった
ま、しょうがない
とも思ったし
ちょっとぐらい反応してよ
とも思ったが
これは私の失態である
私服で朝方自転車に跨った、
ニット帽にメガネのマスクマンである
私に気づかないという次元ではない
ひさしぶりの、
変なおじさんである