何となく観た映画だが
どこか琴線に触れたようだ
もう少し深く理解したいと思い、
立て続けにもう一度観た
私にしては珍しいことである
まず、画がいい
物語そのものはシンプルだが
それをヴェンダースが深みある映画に仕立てている
主演のデニス・ホッパーもかなりかっこいい
しかしながら、少々わかりにくい描写がある
特に冒頭部分
デニス・ホッパー演じるトム・リプリーが
いったい何者でいったい何をしているのか、ということである
ということで原作を読んでみた
が、映画冒頭部分の疑問は晴れない
原作にその部分がないのだ
調べるとこの原作本はシリーズ物で
先に2冊出ているらしい
映画の冒頭がヴェンダースの創作なのか、
それともシリーズに何かヒントがあるのか
確認のため1つ前の作品も読んでみた
解決した
主人公トム・リプリーは贋作ビジネスをやっていた
その流れを映画の冒頭に入れ込んでいたわけだ
なんとも不親切な映画である
因みにこの『贋作』の前の作品、
つまり小説トム・リプリーシリーズの栄えある第一作は
あの、あまりにも有名な映画の原作である
それにしても『太陽がいっぱい』に続編があるとは到底考えられない
これまた確認のため原作を読んでみたら
なんと原作と映画とは全く違う結末になっていた
この発見が一番の衝撃だった
このシリーズは
犯罪者トム・リプリーのシリーズである
今でいうところの、
オレオレ詐欺と地面師の才を持ったクールな殺人者の物語である