用事があって大刀洗の方へ車で出かけた
高速を降りてしばらく行くと
視界いっぱいに金色の田畑が広がっていた
この手の事情にはことに無知で
何の作物だかわからない
だが、あまりの美しさに息をのんだ
帰宅後、何気に新聞のコラムを読むと
小津安二郎の『麦秋』について書かれていた
『麦秋』は5月から6月の季語であり、
この映画の海外公開時の題名は『アーリーサマー』とあった
つまり初夏である
そこまで読んでやっと気づいた
私が大刀洗で見かけた金色の風景は麦畑だったのだ
春から夏への移り変わりの風物詩
思わぬ美風景を目にしたわけだ
息をのんだと先ほど書いたが
麦畑は目に美しいだけでなく、
心に優しかった