『ゲーテとの対話』をパラパラ捲りながら、
著者エッカーマンと偉人ゲーテが親しくなったその経緯をおさらいしたくなり、
上巻の最初から読み直した
貧しい田舎の神童エッカーマンは
学ぶ機会に恵まれず早くから働きに出る
画家を目指したり、
周りの援助により大学で法律を学んだりするなか文学に目覚め、
ゲーテを知ることになる
その後、事情もあって大学を辞めることになるが
その際自作の詩集を出版して金を作ろうと画策
だが出版の術を知らず、その筋の業界人を紹介してほしいとゲーテを頼る、
という始まりなわけである
この『ゲーテを頼る』ってところが突拍子もない
えらい飛躍である
昨今、作家志望の若者が大御所の作家に、
本出したいんだけど
どっか出版社紹介してくれ
なんてお願いすることの100倍くらいすごいことな気がする
けどエッカーマンはそれをやってのける
それにゲーテもゲーテである
こんな若者を面白がり、かわいがるのである
この時エッカーマンが31歳くらいで
ゲーテが74歳くらい
そして9年ほどの付き合いが始まる
考えれば奇妙な出会いである
エッカーマンはつまるところ、
ドリームの体現者である
そして、ゲーテとの対話というそのドリーム体験を細かくメモし、
後にまとめたのがこの本である
体験を自分だけのものとせず、
本にし、広く世間に広めたのは
正に偉業だと思う
見方を変えると
ゲーテにとってもエッカーマンは
都合のいい人物だったのかもしれない
彼自身の思考の総まとめをエッカーマンに書き留めてもらった形にもなる
明るい詩人ゲーテのことだから
神が遣わしたライター、インタビュアーとでも思ったかもしれない
もうずいぶん前から手元にある本だが
まともに読んではいない
というか、読みこなせない
たまに手にとって
エイヤッてページを開いて
その前後を読む
大体気の利いたフレーズに出会う
そんな読書でいいと思っている