ドラマ『浮世の画家』の再放送があった
見逃していたので録画して観た
原作は二度読んでいる
戦後の価値観の転換に翻弄された人々を描いていて
他のイシグロ作品同様、
登場人物は何らかの十字架を背負っている
この作品では画家の小野益次がその人物である
スリル感のある作りであった
終盤は原作にない部分もあって
それはそれで印象的だった
風景の撮り方にもこだわりを感じた
だが、である
この作品で描かれる日本は
イシグロがイメージした想像の日本のはずである
日本人の両親のもと日本で生まれ、
幼少期にイギリスに渡った彼は、
英語を母国語として、
イギリス人として育った
そんなイシグロが描く日本と言う意味では
原作の持つ異質さが描けていない
イシグロがイメージする際に参考にしたという、
小津安二郎を思いっきりパクった映像にしたら
それはそれで面白かったのかな、と思った
けどこれは、仕方のないことだと思う
このカバーデザインでは
主人公を浮世絵師だと思わせてしまう
こっちのデザインの方が物語に合っている
藤田嗣治、小野安二郎へのオマージュが
あるような、ないような