たまには東欧の小説を、
それもどっしりとした長編を読もうと思い、
たまたま手にした本である
ミラン・クンデラといえば
『存在の耐えられない軽さ』である
物語の進行に関わらず、
ところ狭しとクンデラの哲学論が入り込んでくる
読むのにかなり骨の折れる小説であった
この『冗談』も同じ匂いがするが
妙に挑みたくなった
気軽には読めそうにない、
ハードカバー上下二段の380ページ。
で、実際はどうかというと
予想より遥かに読みやすく、
予想より遥かにおもしろかった
チェコスロバキアを舞台にした、
男女の物語であり、
政治に翻弄された男の物語でもある
それは悲劇でもあり、
笑えない喜劇でもあった
構成も美しく久しぶりに夢中になった
しばらく重い余韻が残りそう
そんな小説であった