本屋も行けず、
図書館も閉まってる
仕方なく、
店のボックスシートの中に埃と一緒に積まれてる、
かつて読んだ本の中から引っ張り出したのは
男性向けB級映画的ハードボイルド、
『初秋』である
少年に自立の意味を諭すスペンサーの言葉は
いずれも実に気が利いていて、
すぐ誰かに言いたくなるものだが
気を付けなければならない
この言葉を凡人が使うと
途端に茶番である
ガタイが良く、
運動もよく出来て、ボクサー歴もあり、
大工仕事を知っていて、
料理もでき、文学の素養もあり、
自分でコントロールできることにだけ集中できる、
元警官の私立探偵でなかったら
人に使ってはならない
あくまで自分の内側に留めるべきである
物語中のスペンサーの年齢を
恐らく大きく超えてるはずなのに
15歳のポール気分で読んでしまう
何となく
『初心』に戻れる小説なのかもしれない
今の文庫本カバーはこんなデザインのようだが
かつてはこういったデザインで
何度も読んだので
今はこれだけになっている
しおりにしている