スマートな文体だから忘れがちになるが
かなり不幸な青年の物語である
だが青年は
その不幸を客観視する冷静さを持ち合わせている
だから無駄に投げ出さない
やがて救いの手が差し出される
月をモチーフに
ある男性の青春時代を描いている
最終的には何もかも失うわけだが
読後には何とも言えない爽快感があった
それは青春時代からの卒業、というか
新しいスタートと受け取れたからである
翻訳が絶品である
原書のニュアンスを誠実に守りながら
気の利いた言い回しにしてるのだと思う
外国の文学でありながら
日本の純文学を読んでるようであった
優れた外国文学を
優れた翻訳家が訳せば
傑作が生まれる、
ワケである